今年もまた「記録的な暑さ」というフレーズが全国ニュースを賑わせている。他人事のように聞いていたのも束の間、気づけば札幌でも、しっかりその「記録的」の仲間入りをすることになる。
北海道民というのは、暑さに対する装備が根本的に足りていない。エアコンのない家、日除け文化のない庭、そして「夏は短いから」と油断しきった精神状態。そんな丸腰の状態で、近年の本州クラスの暑さが牙を剥いてくるのだから、菜園も人間も悲鳴を上げるのは当然である。

朝の水やりが「儀式」から「決死行」に変わった
数年前までは、朝起きてなんとなくホースで水をまく、というのんびりした儀式だった。それが今では、天気予報を確認し、「今日は何時までに水をやらないと昼にはしおれる」と逆算する、ちょっとした作戦会議になっている。
しかも一度水をやったくらいでは安心できない。日中に様子を見に行くと、朝あれだけ元気だった葉っぱが、まるで午後の会議で心が折れたサラリーマンのようにうなだれていることがある。慌てて追加の水やりをする羽目になり、「今日はもう何回ホースを持ったか分からない」という日も出てきた。
日除けなき庭の、涙ぐましい即席対策
北海道の庭には、そもそも本格的な「暑さ対策グッズ」というものが売っていない。ホームセンターに行っても、本州向けの日除けシートコーナーはどこか控えめで、品揃えも心もとない。
仕方がないので、家にあるものでなんとかする。使わなくなったすだれを支柱にくくりつけたり、洗濯物を干すための余った布を野菜の上にかけてみたり。傍から見れば「畑になぜか布団が干してある」ようにしか見えない、なんとも珍妙な光景が出来上がる。
それでも効果があるからやめられない。日中の直射日光をちょっとでも遮ってやるだけで、野菜たちの元気度が目に見えて違うのだから、涙ぐましい即席対策も馬鹿にできない。
「本州の夏を舐めていた」という敗北宣言
正直に言うと、これまで北海道の夏の暑さなど「本州に比べれば大したことない」と、どこかで見くびっていた部分があった。しかし今年、庭の温度計が示す数字を見て、その慢心は静かに崩れ去った。
もはや「北海道だから涼しい」は過去の話になりつつあるのかもしれない。菜園の野菜たちも、まるで「聞いてないよ、こんな暑さ」と言わんばかりにぐったりしている。こちらとしても、これまでの経験値がまるで通用しない事態に、日々手探りの対応を強いられている。
それでも工夫でなんとか乗り切る、道産子魂
とはいえ、負けっぱなしでは終われないのが道産子気質というものだ。試行錯誤の中で、それなりに効果を感じた対策も見えてきた。
- 朝と夕方、2回に分けて水やり:日中の一度きりの水やりでは追いつかないため、涼しい時間帯にこまめに分ける
- すだれや古い布で簡易日除け:見た目は気にせず、あるもので直射日光を遮る
- 鉢植えは日中だけ日陰へ移動:動かせるものは、暑さのピーク時間だけでも避難させる
- マルチング(敷きわらなど)で地温上昇を抑える:土の表面を覆うだけで、思った以上に水切れを防げる
来年もまたこの暑さが続くのだとしたら、道産子の菜園スタイルもそろそろアップデートが必要なのかもしれない。それでも、慣れない暑さに四苦八苦しながら野菜と向き合う夏というのも、これはこれで一つの北海道の新しい風物詩なのかもしれない。


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