札幌市南区・真駒内の五輪通が、ついに2車線化されることになった。
長年「なんでここだけ1車線なんだ」と思っていた人も多いのではないだろうか。朝夕の渋滞が慢性化していた区間で、2車線化によって渋滞緩和が期待されている。地元住民にとっては悲願ともいえる改善だ。
でもこのニュースを聞いて、もうひとつ頭をよぎったことがある。
「あのポプラ並木、大丈夫かな?」
五輪通とは何か
まず背景を整理しておこう。
真駒内は1972年、札幌オリンピックのメイン会場となったエリアだ。フィギュアスケートで転倒しながらも笑顔を見せたジャネット・リン選手が演技したアイスアリーナ、今も残るオリンピックの記憶——そういった歴史と自然が同居する、札幌の中でも独特の雰囲気を持つ地区だ。
五輪通はその名の通り、オリンピック開催にあわせて整備された道路。真駒内公園周辺を走るこの通りには、オリンピック当時から育ち続けたポプラの巨木が並木として続いている。
📍 五輪通の場所(地図)
五輪通は、真駒内セキスイハイムアイスアリーナ前(北端)から真駒内公園入口(南端)にかけての通り。地下鉄南北線「真駒内駅」から徒歩10〜15分ほどのエリアで、道路の両側にポプラ並木が続く。
樹齢50年を超えるポプラたち。道路の両側でどっしりと根を張り、夏は緑のトンネルを作り、秋は黄金色に染まる。
この並木が、2車線化工事でどうなるかが気になるところだ。
道路と街路樹は、だいたいいつも対立している
道路を広げると、街路樹が犠牲になることがある。これは全国共通の悩みだ。
根が歩道を持ち上げる。枝が電線に触れる。老木化して倒木リスクが出る。除雪の邪魔になる。道路行政の視点からすると、街路樹はなかなか「扱いにくい存在」だ。
一方で街路樹には、夏の暑さを和らげる、雪の飛散を防ぐ、景観をつくる、鳥や虫の居場所になる、といった役割がある。
札幌市は現在、約10万本の街路樹を管理している。老木化が進んだ樹木は内部が空洞化して倒木リスクが増すため、順次若木に植え替えを進めているが、「伐採」と「植え替え」は見た目がほぼ同じなので、「なんで切るんだ」という声が上がることも多い。
緑を守ることと、道路を整備すること。どちらも必要なのに、しばしば相反する。

真駒内公園という「奇跡」
真駒内のすごいところは、都市の中にこれだけの自然が残っていることだ。
面積85ヘクタール。約13,200本の植栽樹木に加え、約50,000本の自然木が残る。樹齢135年を超える古木もある。かつては戦後に駐留軍のゴルフ場として使われていた土地が、返還後に公園として整備された。
都市の真ん中に、森がある。
春はカタクリが群生し、夏はランニングコースで市民が汗を流し、秋は紅葉の名所になり、冬は歩くスキーのコースになる。四季を通じて市民に使われ続けている。

この公園の入口を飾るのが、五輪通のポプラ並木だ。
緑と道路、うまくやれないか
2車線化は渋滞を解消するためのもので、必要な整備だと思う。毎朝渋滞に巻き込まれている人にとっては待ちに待った話だ。
でも同時に、「緑をどう守るか」という視点もセットで持っていてほしいと思う。
札幌市はこれまでも、街路樹の維持管理に力を入れてきた実績がある。樹木診断を実施して倒木リスクのある木だけを選んで更新する仕組みを作り、無闇に伐採しない方針を打ち出している。
真駒内のポプラ並木も、できれば残してほしい。樹齢50年を超えた木々は、街の記憶そのものだ。
「道路のために緑を切る」のではなく
最近、全国で「グリーンインフラ」という考え方が広まっている。道路や公園の緑を「インフラ」として位置づけ、コストとしてではなく投資として管理しようという発想だ。
街路樹が暑さを和らげる効果は、エアコンで代替すれば莫大なコストがかかる。鳥や虫の生息地としての機能は、一度失ったら取り戻せない。
真駒内の2車線化は、そういう視点で見ると、「道路整備と緑の共存をどう設計するか」のテストケースにもなり得る。
渋滞も解消されて、ポプラ並木も残る。そんな着地点を、ぜひ目指してほしい。
難しいのはわかっている。でも、難しいからこそ考える価値がある。
真駒内に行ったら、ぜひ見てほしいもの
最後に少しだけ観光案内を。
真駒内公園は、実は札幌市民でも意外と知らない魅力がある。
5月のカタクリ 都市公園で自生のカタクリが群生する場所は全国的にも珍しい。俯いて咲く紫の花は、派手さはないが一度見ると忘れられない。
ポプラ並木の新緑 五輪通のポプラは5月下旬から6月にかけて、明るい黄緑色の葉が一気に展開する。見上げると光が透けて美しい。
真駒内川の散策路 公園内を流れる真駒内川沿いの遊歩道は、春から初夏にかけて野鳥の声が豊かで、バードウォッチングにも最適だ。
五輪通が2車線になっても、真駒内の自然の魅力はそのままであってほしい。そう願いながら、今年も並木の下を歩きたいと思う。


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