5月12日の朝、札幌市手稲区の住宅街で一人の女性が庭の花壇を見て、固まった。
そこには見慣れない足跡があった。長さ17センチ、幅13センチ。クマのような跡が6〜7個。
「2日くらい前からあったんだけど……」と夜に家族に話したところ、家族がすぐ警察に通報。翌日には警察がパトカーでパトロールを行い、市の職員が写真を撮影して専門家と協議した。
市の調査では「クマの可能性は低い」と判断されたという。
ひとまずよかった。でも「低い」であって「ゼロではない」。そしてそもそも、JR手稲駅から直線で900メートルの住宅街に、クマを疑うような足跡がついていた、という事実は残る。
「北海道だからクマが出る」のはわかっていた。でも「花壇に足跡」は、さすがにちょっと近すぎないか。

札幌のクマ事情、思ったより深刻です
まず数字から見てみよう。
札幌市のクマ出没は南区での出没確認が多い傾向がある、2025年度は市街地への出没も増加したというデータがある。
南区は山と川に囲まれた自然豊かな街であると同時に、ヒグマの生息域と住宅地が接している地域だ。山に近い南区の話なら「まあそうか」と思う。
でも今回の手稲区は、南区ではない。駅から900メートルの住宅街だ。
札幌市は市街地と森林が直接接しており、緩衝帯となるエリアが少ないという構造的な問題がある。つまり「森と市街地のあいだ」がないのだ。クマにとってみれば、山から下りたら気づいたら住宅地だった、ということが起きやすい。
**熊が悪いわけではなく、街の構造上、クマが迷い込みやすい。**これが札幌のリアルだ。

クマが庭や花壇に来る理由
ヒグマは「食べ物に対する執着心が非常に強い」生き物だ。一度「ここに食べ物がある」と学習すると、繰り返し同じ場所に来ることが確認されている。
では、庭や花壇の何がクマを呼び寄せるのか。意外に思うかもしれないが、主な原因はこのあたりだ。
① 野菜・果物の匂い 家庭菜園のトマト、トウモロコシ、かぼちゃ。クマにとってはごちそうだ。収穫前の野菜は特に匂いが強い。
② 堆肥・生ごみ コンポストや生ごみ置き場の匂いはクマを強く引き寄せる。「うちは野菜を育てていない」でも堆肥があれば要注意だ。
③ 落果・未収穫の果実 ブルーベリー、リンゴ、プルーンなど、庭の果樹の実が落ちたまま放置されていると、クマのレストランになる。
④ 花の蜜・球根類 意外かもしれないが、チューリップなどの球根もクマが掘り起こして食べることがある。「花壇に足跡」は、この可能性もゼロではない。
庭・花壇でできるヒグマ対策5選
「でも電気柵なんて普通の庭に設置できない」という声が聞こえてきそうだ。たしかに大がかりな設備は難しい。でも、日常的にできることはある。
① 収穫は早めに、落果はすぐ拾う
果樹がある庭では、実が熟したら早めに収穫する。落果をそのまま放置するのが最も危険だ。「もったいない」という気持ちはわかるが、クマを呼ぶ餌になる。
② コンポストの管理を徹底する
生ごみ系のコンポストは匂いが強い。フタのしっかりした容器を使い、設置場所は家の中側(山から遠い側)に。可能なら密閉型のコンポストに切り替えるのが理想的だ。
③ 収穫後の野菜くずをすぐ片付ける
トウモロコシの芯やかぼちゃのヘタを庭に放置しない。「たいした量じゃないから」という感覚がクマを呼ぶ。
④ 札幌市の「家庭用電気柵の購入補助・貸出し」を使う
実は札幌市では家庭菜園用電気柵の購入補助および無償貸出しを行っている。南区が主な対象エリアだが、出没の多いエリアの住民は一度市に問い合わせてみる価値がある。無償貸出しなら初期費用ゼロで試せる。
最新情報は札幌市公式サイトで確認して下さい。
⑤ 札幌市公式LINEで出没情報を受け取る
札幌市では公式LINEアプリでヒグマの出没日時・出没情報をプッシュ通知で配信している。登録しておけば、近所でクマが出た情報をリアルタイムで受け取れる。無料で登録できるので、札幌市内在住なら入れておいて損はない。
「うちは山から遠いから大丈夫」は通用しない時代に
手稲区の今回のケース。結果的にクマではなかった可能性が高いが、それでも「駅から900メートルの住宅街の花壇に、クマを疑う足跡がついた」という事実は変わらない。
近年、市街地に出没するヒグマが増加しており、これまでヒグマを身近な存在として認識していなかった人々も、ヒグマについての正しい知識を持つことが必要になっていると北海道庁も呼びかけている。
「山の近くに住んでいるわけじゃないし」「南区じゃないから関係ない」——そういう感覚は、少しずつ更新が必要な時代になっている。
庭で野菜や果樹を育てている人ほど、クマにとって「いい匂いのする場所」になりやすい。楽しいはずの家庭菜園が、クマを呼び込む原因になってしまうのは避けたい。
難しいことは何もない。収穫を早める。落果を拾う。コンポストを管理する。それだけで、庭とクマの距離は少し遠くなる。
まとめ:庭でできるヒグマ対策チェックリスト
- [ ] 果実の落果をすぐに拾っている
- [ ] コンポスト・堆肥はフタ付きの容器を使っている
- [ ] 収穫後の野菜くずをその日のうちに処理している
- [ ] 札幌市公式LINEのヒグマ出没情報を登録している
- [ ] 電気柵の補助・貸出し制度を確認した(南区・出没多発エリア)
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