旭川市役所周辺がちょっとした騒ぎになっている。
カラス、カラス、カラス。そして、市民からの苦情100件超。
旭川市総合庁舎の周辺をはじめ、市中心部にカラスが集まり、樹木や電線の下をふんで汚し、景観も損なっている状況だという。市役所に「カラスをどうにかしてくれ」という声が100件以上届く事態——これはなかなかのものだ。
「カラスが嫌いだから市役所に文句を言う」というのは、なんだか理不尽な気もする。市役所がカラスを呼んでいるわけではないのだから。でも、実はこれが今回の話の核心でもある。
なぜ市役所周辺にカラスが集まるのか
専門家の指摘によると、餌となるごみにありつけて夜間に休む街路樹がある環境がカラスを呼び寄せているという。
つまりカラスにとって、旭川市役所周辺は「飯も食えて、寝床もある」という条件が揃った優良物件なのだ。
人間がオフィス街を選ぶ理由が「家賃」「通勤」「ランチの店の多さ」だとすれば、カラスが市役所周辺を選ぶ理由は「ごみのある場所」「安全に休める街路樹」。発想はそう変わらない。
カラスは雑食性で、都会のカラスはごみステーションの生ごみを餌にしている。市の中心部はごみの集積場所も多く、人通りがあっても天敵が少ない。カラスからすれば「住みやすい街」ランキングの上位に入る場所なのだろう。

「追い出すのは難しい」というシンプルな現実
ここで気になるのが、「じゃあ追い払えばいいんじゃない?」という発想だ。
でも専門家は、追い出すのは難しいと指摘している。被害を悪化させないため、ごみの管理などが求められているというのが現実的な対応策だ。
これがなかなか歯がゆいところで、「カラスをどこかへ追い払う」という直接的な解決策が、実はそう簡単ではない。
理由のひとつが、ねぐらを追い払うと別の場所に被害が移動するだけというパターンだ。市街地の公園や緑地をねぐらにしているカラスを追い払った結果、周辺の電線や建物に移動してしまい、被害が拡散することがある。
「あっちのカラスを追い払ったら、こっちに来た」というモグラ叩き状態。カラス対策は、想像以上に頭を使うゲームなのだ。
カラスと街路樹、意外と複雑な関係
ここでブログのテーマである「街路樹」との関係を見てみよう。
カラスは枝葉の茂った大きな樹木などに好んで巣を作る。見通しの良い木を好む「ハシボソガラス」と、見通しの悪い木を好む「ハシブトガラス」がいて、共通点は巣を安定させやすい枝があることだという。
つまり、街路樹の「枝ぶり」がカラスにとっての住みやすさを左右している。剪定をすることでカラスは巣を作りにくくなるため、これが対策のひとつになるわけだ。
街路樹は人間にとって景観や日陰を作ってくれるありがたい存在だが、カラスにとっても同じくらいありがたい存在——という、なんともままならない構図がここにある。

カラスの繁殖期、実は人間にも危険がある
旭川のふん害問題と並行して知っておきたいのが、カラスの繁殖期の話だ。
カラスは3月から7月頃にかけての繁殖期になると、巣を作り卵を産んでヒナを育てる。この時期、親鳥が卵やヒナを守ろうとして、近くを通る人を威嚇・攻撃することがある。
威嚇でも人が遠ざからない場合は、後方から低空で飛んできて頭をかすめたり、脚で後頭部を蹴るなどの攻撃をしてくる。カラスは縄張りを持っていて、その範囲は半径20〜100メートルほど。縄張りから離れると威嚇行動は収まる。
ポイントは「後ろから攻撃してくる」という点だ。カラスに威嚇された場合、背中を向けずにその場を離れるのが正解。慌てて走って逃げると、むしろ標的になりやすいという話もある。
カラスは人の顔を識別して記憶する能力が高く、危険な相手と認識した人物に対して、繰り返し警戒行動を示すことがある。
カラスは記憶力が良すぎる。下手に刺激しないのが一番だ。
ごみの管理が一番の対策
結局のところ、個人レベルでできる対策は地味だが効果的だ。
① ごみは決められた時間・方法で出す ごみステーションのネットをしっかりかぶせる、収集時間直前に出すなど、カラスのエサ場にしない工夫が大切。
② ペットフードの放置をしない カラスは犬や猫のエサも食べる。庭で外飼いしている場合は要注意。
③ 庭木の剪定をする 枝ぶりが整っていると、カラスが巣を作りにくくなる。
④ 巣材になりそうなものを放置しない 針金製のハンガーなど、巣の材料になりやすいものは屋外に置かない。
旭川市や札幌市をはじめ、多くの自治体がこうしたごみ管理の徹底を呼びかけている。地味だが、これが一番効果のある対策だ。
街にカラスが多いのは、街が「住みやすい」証拠でもある
最後にちょっと視点を変えてみたい。
カラスが市街地に集まるのは、ある意味で「人間の暮らしが豊かである証拠」でもある。食べ物が豊富で、休む場所もあって、天敵もいない。カラスにとって都市は理想的な環境なのだ。
私たちが暮らしやすい街を作れば作るほど、カラスにとっても暮らしやすい街になってしまう——これはなかなか皮肉な話だが、自然との付き合い方を考えるうえで面白い視点でもある。
クマやシカと同じように、カラスもまた、人間の環境変化に適応してきた生き物だ。完全に排除することは難しいが、「ごみの管理」という小さな積み重ねで、被害を最小限に抑えることはできる。
旭川の市役所周辺、今日もカラスが元気に飛び回っているはずだ。
まとめ
- 旭川市役所周辺にカラスが集まり、ふん害の苦情が100件超に
- 原因はごみと街路樹という「餌場と寝床」のセット
- 追い払いは別の場所への被害移動を招くため難しい
- 3〜7月の繁殖期は威嚇・攻撃のリスクも
- 個人でできる対策はごみ管理と庭木の剪定
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