北海道にしかない野菜、知ってる?道産子も知らない在来野菜の話

北海道の野菜 ひとりごと

突然ですが、クイズです。

「まさかりがないと切れない野菜、なーんだ?」

「いや、それもう名前じゃん」と思ったあなた、正解です。そしてその野菜は本当に存在します。北海道に。

北海道の野菜といえば、じゃがいも・玉ねぎ・トウモロコシ……の3強が有名ですよね。
でも実は、その陰に**「道産子でも知らない、北海道生まれの在来野菜たち」**がひっそりと(そして力強く)存在しているんです。

今回はそんな”北海道のレア野菜”を、豆知識とともにご紹介。
最後まで読むと、次の飲み会で確実に1回は「へぇ〜」を獲得できます。


そもそも「在来野菜」って何?(1分で理解できる版)

スーパーに並んでいる野菜のほとんどは「F1品種」という交配種。形が揃っていて流通しやすく、お店にとっては都合がいい優等生です。

一方の在来野菜は、何十年・何百年もその土地の気候に合わせて育ってきた”地元のベテラン”。
形は不揃いだし収穫量も安定しないし、冷蔵トラックに積もうとしたら重すぎて断られたりもします(後述)。

でも、味と歴史と物語は本物。そういう野菜が北海道にはあるんです。

関連記事:固定種・在来種とは?F1種との違いをやさしく解説


【クイズ】この野菜の名前、わかりますか?

🌿 北海道のある町でしか育てられない。高さ3メートルになる。人間より背が高い野菜。

答えは最後に! 気になる人も先にスクロールせず 順番に見て下さい。


北海道の在来野菜5選

🧅 ① 札幌黄(さっぽろき)――”幻の玉ねぎ”、実は玉ねぎ界の祖先だった

北海道は日本一の玉ねぎ産地。でも、その玉ねぎ文化を全国に広めた”元祖”品種があることはあまり知られていません。それが**「札幌黄」**です。

明治時代に札幌で誕生し、日本に玉ねぎ食文化を根付かせた立役者。いわば玉ねぎ界の開拓者です。

ところがその後、F1品種という”形が揃ってて扱いやすい後輩”が登場すると、一気に肩身が狭くなります。
形が不揃い、貯蔵性が低い、収量が読めない……農家から見たら扱いにくいことこの上ない。

そうして一度は「幻の玉ねぎ」と呼ばれるほど希少になってしまいました。

でも今、じわじわ復活中! 「札幌黄ふぁんくらぶ」という、名前だけで愛が伝わる団体が活動していたり、熱狂的なシェフが「カレー1皿に札幌黄を2個使う」という暴挙(最大級の褒め言葉)に出たりしています。

2015年にはスローフード国際協会の**「味の箱舟」**(通称・食の世界遺産)にも認定。
玉ねぎが世界遺産クラスになる時代です。

💡 家庭菜園メモ:種苗店やネットで種が手に入ることも。形の不揃いさも、育てた達成感のうちです。


🥬 ② 札幌大球(さっぽろたいきゅう)――「キャベツ1玉」の概念を破壊するキャベツ

「キャベツ1玉ください」と言ったとき、頭の中に浮かぶのはせいぜい1〜2kgのアレですよね。

札幌大球は違います。

重さ10kg超。両手で抱えても持ちきれないサイズ。スーパーの袋には入りません。
というか、宅配便に頼もうとしたら「重すぎて低温便に積めない」と断られたという実話があります。キャベツに断られる宅配便。

北海道では昔、冬の保存食として大量のキャベツを塩漬けにする文化がありました。
その用途には大玉が便利で、明治時代から重宝されてきた品種です。

ただ現在は生産農家が激減し、かなりの希少品に。
「0度・湿度95%」という超厳密な環境でないと保存できないあたりも、なかなかの貴族気質です。

💡 雑学ポイント:漬物(ザワークラウト・塩漬け)にするための品種なので、生で食べるより「漬けてなんぼ」の野菜です。


🌽 ③ 八列とうきび――「採れたてが命」の不器用なトウモロコシ

現代の主流トウモロコシといえば、甘くてジューシーな品種が定番。
でも明治の北海道を支えたのは、もっと素朴な**「八列とうきび」**でした。

名前の由来は見たまま。
粒が1周に8列並んでいる細長いトウモロコシです(今の品種は12〜16列くらい)。
明治元年(1868年)にアメリカから導入され、札幌農学校を中心に広まりました。

この八列とうきびには致命的な弱点がひとつあります。
収穫後、時間が経つと急激に味が落ちる。

流通に向かない、保存もきかない、現代の物流システムとは相性最悪。
そのため昭和40年代にはほぼ姿を消し、今では生産者の直売でしか出会えない幻のトウモロコシになってしまいました。

現地で採れたてを食べるしか味わう方法がない、ある意味最も贅沢なトウモロコシかもしれません。


🎃 ④ まさかりかぼちゃ――「包丁お断り」のかぼちゃ

冒頭のクイズの答えがこれです。

**「まさかりを使わないと切れない」**というのが名前の由来で、これは比喩でも誇張でもありません。皮が本当に硬くて、包丁ではまともに刃が立たない。
料理しようとしたら武器が必要になるかぼちゃです。

ラグビーボールのような細長い形で、明治初期にアメリカから導入されたハッバード種が北海道で在来化したもの。
昭和30年代まで北海道全域で広く栽培されており、戦中戦後は主食代わりにもなったそうです。

問題は、その「切るのが大変」という点。
どんなに味がよくても、家庭で使うには不便すぎる。
そのため昭和40年代に急速に栽培が減り、今では幻の存在に。

💡 味は栗のようなホクホク系で、甘みはすっきり。
素揚げにしてバターと塩で食べると絶品らしい。切れたらの話ですが。


🌿 ⑤ ラワンぶき――人間を超えた高さのフキ、北海道遺産に選ばれる

クイズの答えはこれ!

北海道・足寄(あしょろ)町の螺湾(らわん)地区だけで育てられている**「ラワンぶき」**。

高さ3メートル、茎の太さ10センチ以上
普通のフキが50cmくらいなので、約6倍のサイズ感です。
フキというより、もはや植物としてのカテゴリが違う気がする

2001年に北海道遺産に選定され、現在は苗や種を自生地から持ち出すことが禁止されています。
つまりラワンぶきを食べたければ、足寄町に行くしかない。

足寄町で有名なのは松山千春だけではない⁉️
北海道の食材に詳しい人でも「名前は知ってるけど食べたことない」という人が多いレアさです。

💡 旬は6〜7月ごろ。足寄町の道の駅で食べられることがあります。
「2メートルのフキを食べた」という体験、なかなかできないので機会があればぜひ。


なぜ在来野菜は消えていったのか?(3行まとめ)

  • 形が不揃いでスーパーに並べにくい(見た目の均一化が求められる時代)
  • 収穫量が安定しない(農家にとってリスクが高い)
  • 重すぎて宅配便に断られる(札幌大球、あなたのことです)

冗談っぽく書きましたが、これは本当に深刻な問題でもあります。
一度途絶えた在来品種は、種がなくなったら二度と取り戻せません。

最近は「味の箱舟」認定や地産地消ブームをきっかけに、守ろうという動きが少しずつ広がっています。


まとめ:北海道の在来野菜、一覧

野菜名一言で言うと現在の入手難易度
札幌黄玉ねぎ界の開拓者★★★(復活中)
札幌大球宅配便を断ったキャベツ★★★★(希少)
八列とうきび採れたて命の不器用者★★★★(直売のみ)
まさかりかぼちゃ包丁お断り★★★★★(幻)
ラワンぶき人間より背が高いフキ★★★★★(足寄町のみ)

北海道に住んでいると、こういった”地元の歴史”がすぐそこにある気がしませんか。

家庭菜園で札幌黄の種を育ててみたり、足寄まで遠征してラワンぶきを食べてみたり。
そんな楽しみ方もあります。

形は不揃いでも、味と物語は本物。たまにはF1品種じゃない野菜と向き合ってみてください。


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