今年の北海道は、例年にも増してヒグマの出没情報が多く、8月中旬現在も道内の複数地域で「ヒグマ注意報」が発令されています。札幌近郊や石狩地方、後志地方などの農村部では、スイカやとうもろこしが食い荒らされる被害も報告されています。
特に、甘く糖分の多いスイカやとうもろこしは、ヒグマにとって高カロリーで魅力的な「ごちそう」。夜間や明け方に畑へ侵入し、実を丸ごと食べるケースが後を絶ちません。
ヒグマ注意報と警報の違い
区分 | 発令される状況 | 行動の目安 |
---|---|---|
ヒグマ注意報 | 生活圏や農地で目撃が相次ぐ、農作物被害が発生し始めた場合 | 農作物やゴミの放置をやめる、音を出して存在を知らせるなど早めの警戒 |
ヒグマ警報 | 人を恐れない行動が見られる、人家周辺で繰り返し出没、被害が深刻化している場合 | 対象地域への立ち入りを控える、屋外活動の中止、駆除や捕獲が行われることもある |
札幌市では注意報や警報以外でも iPhoneの防災通知で、熊の目撃情報の通知が来ます
毎年数回〜数十回の通知があり、私の家の近所での目撃情報が来ることもあります。

2025年8月現在の主な注意報発令地域
- 石狩地方の一部(農地周辺での目撃情報多数)
- 後志地方(果樹園・畑の被害報告)
- 空知地方(スイカ・とうもろこしの食害)
- 十勝地方(牧草地への侵入)
※最新情報は北海道庁や各市町村の公式サイトで必ず確認してください。

ヒグマ駆除と抗議問題
近年、ヒグマが人里で繰り返し出没し、農作物や家畜への被害が深刻化した場合、最終手段として駆除が行われることがあります。しかし、その後に役所や猟友会へ抗議の電話やメールが殺到し、業務に支障をきたす事態が報告されています。
こうした抗議の多くは、現場の状況を直接知らない人や、道外からの意見であり、SNSや一部報道の情報だけを見て感情的に反応してしまったケースが目立ちます。
現実には、駆除は決して安易に行われるものではありません。追い払い・捕獲移動などの手段を尽くしても効果がなく、命の危険が高い場合に限られます。農作物被害は一晩で数十万円規模になることもあり、人身被害のリスクも無視できません。
人身被害の現実 ― 福島町での死亡事故
今年7月12日、北海道南部の福島町で衝撃的な事故が発生しました。
新聞配達中の52歳の男性がヒグマに襲われ、命を落としたのです。
この事故は早朝の市街地近くで起き、地元住民に大きな衝撃と不安を与えました。
人里に現れ、人間を恐れないヒグマは、人身被害の危険性が非常に高いことを改めて示す出来事でした。
また 2021年に同じ福島町で、住宅近くで作業をしていた高齢男性がヒグマに襲われ、死亡するという痛ましい事故が発生しています。現場は人家からわずか数十メートルの場所であり、「人里にクマが来ることはない」という思い込みが命取りになった事例です。

「かわいそう」だけで反対する危うさ
こうした現実があるにもかかわらず、「駆除はかわいそうだからやめろ」という意見だけで現場対応を否定することは、極めて危険です。
現場の危険や地域住民の不安を無視した身勝手な意見と言わざるを得ません。
ヒグマは野生動物であり、時に人命を奪う存在です。
安全確保のための駆除は、地域社会の命と生活を守る最後の手段です。
感情的な抗議が役所や猟友会の業務を妨げれば、次の被害を防ぐためのパトロールや避難指示が遅れ、さらなる犠牲を生む可能性があります。命の安全を守る活動を止めるような行為は、結果的に人命軽視と変わりありません。
ヒグマとの共生は可能か
北海道では、ヒグマと人との距離を保つための取り組み(ごみの管理、作物の防護柵、出没情報の共有など)が進められています。
しかし、すでに人里に慣れてしまった個体や、人間を恐れない個体は共生が困難です。
駆除は簡単に行われるものではなく、慎重な判断の末に選ばれる「最後の選択」です。
野生動物との共存は理想ですが、それは人命と生活が守られた上で成り立つものです。現場の実情を知らずに反対する前に、まずは被害や事故の事例を知ることが大切です。

私の家の近所でも、数年前に目撃情報が多発したことがありました。
目撃情報が増えると、熊を一眼見ようと報道陣や野次馬が近所に押し寄せて迷惑駐車が増えたことがありました。
このような行為も迷惑で危険ですので、絶対にやめていただきたいです。
その後駆除されたのですが、秋の冬眠前の時期ですぐ近くに穴を堀り、穴の中に鹿が2頭埋められていたとのことです。
私たちにできること
- 出没情報を常に確認し、山や畑での行動に注意する
- 農作物やごみなど、ヒグマを引き寄せるものを放置しない
- 現場の実情を理解し、感情的な批判や無責任な抗議をしない
家庭菜園でできるヒグマ被害対策
- 収穫は早めに:完熟期を迎えたら夜を待たずに収穫する
- 電気柵の設置:市販の簡易型でも効果あり(必ず通電を確認)
- 匂い対策:残渣や食べられた実を畑に放置しない
- 音や光で警戒:夜間センサーライトやラジオを活用

まとめ
ヒグマは本来、人を避ける生き物ですが、農作物や果樹の味を覚えると警戒心が薄れ、昼間でも現れることがあります。
北海道の家庭菜園では、収穫のタイミングや匂い対策を徹底し、少しでも被害を減らす工夫が大切です。
また、駆除に関する議論は感情論ではなく、現場の状況や安全確保の必要性を理解した上で行うことが重要です。
安全を第一に、無理な接近や追い払いは絶対にせず、自治体の指示に従いましょう。
この記事が気に入っていただけましたら、ぜひブログのブックマークとSNSシェア・フォロー・Xでリポスト ブログ村でフォローまたは投票をお願いします。
コメント