家庭菜園は まず土づくりから!
よく聞く言葉ですが いざ始めようとしてホームセンターに行くと
たくさんの種類の肥料や土が売られていて 何を買っていいかわからない
そんな今さら聞けない肥料についてまとめてみました
肥料の種類
有機肥料 無機質肥料 化学肥料 堆肥 ぼかし肥料 化成肥料 液体肥料
売られている肥料の袋にはいろんな文字が書かれていて それぞれどうゆうものなのでしょうか
肥料とは、植物に栄養を供給するために土または植物に施される物質の総称で
使用する原料で大きく分類すると 有機肥料 と 無機質肥料に分かれます
有機肥料
油粕や魚粉 鶏糞など動物質または植物質などの有機物に由来する肥料を「有機肥料」といいます
有機肥料の特徴
・種類によって違いがあるが 全体的に即効性は低く持続性が高い
・銅 亜鉛など植物の微量必須要素の供給も期待できる
・土壌が改良される
・微生物の働きによって分解状況が変わるので量の調整が難しい
・ガスが発生したり においが強かったりする
・自然の素材を発酵・熟成させて作るので 肥料ができるまでに時間がかかる
・原材料に限りがあるために大量生産は難しく 価格は高め
主な有機肥料の種類
油粕
大豆や菜種などから油を搾った後に残る搾りかすの事
植物に必要な三大栄養である窒素・リン酸・カリウムのうち
葉・茎の生育を促す窒素の含有量が最も多い肥料
多量にまくと分解の際にガスが発生して 作物の生育を阻害したり
土の表面にまくとコバエが発生することがあります
土の中に深く埋めてゆっくりと分解させる元肥としてよく使われます
土壌の微生物を増やし土壌の団粒化を促す土壌改良材としても優れています
植物に吸収されやすい発酵済みの油粕がおススメです
鶏糞
養鶏所から出るニワトリの糞を乾燥・発酵させた物
窒素・リン酸・カリウムがバランスよく含まれていて
カルシウムやマグネシウムなども豊富に含まれています
比較的低価格で扱いやすいため広く普及しています
乾燥鶏糞(鶏糞ペレット) 発酵鶏糞(鶏糞堆肥) 炭化鶏糞などの種類があります
アルカリ性になりやすいため 酸性を好む植物には向いていません
速効的な効果があるため撒き過ぎには注意してください
魚粉
イワシなどの魚を煮て水分と油分を取り除き、乾燥させた後に粉砕した物
窒素とリン酸を多く含んでいて野菜の味を良くする効果があります
有機質肥料の中では窒素の速効性が高いため 元肥だけでなく追肥としても使われます
土の表面に撒くと、鳥や小動物、虫が寄ってくるため、必ず土に混ぜて使用するようにしてください
骨粉(こっぷん)
豚や鶏などの骨を高温で蒸してから乾燥させた後に細かく砕いた物
多少の窒素とリン酸を多く含みます
少しずつ分解されて吸収されるため 効果は非常にゆっくりと現れ 長続きするのが特徴です
購入する際は 病気にかかった家畜の骨が使用されていないことが明記されているかを確認してください
米ぬか
玄米を精米する際に出る粉の事
窒素・リン酸・カリウムのほか ビタミンやミネラル、糖分を豊富に含んでいます
脂質が多いため、油粕よりも分解はゆっくり進みます
土とよく混ぜておくと微生物を活性化させるほか センチュウの被害を抑制する土壌改良資材としての効果もあります
水田では、除草の目的で表面施用されることがあります
草木灰(そうもくばい)
落ち葉や枯れ草などの草木を燃やしてできる灰の事
カリウムを多く含むほか石灰とリン酸も含んでいます
即効性が高いため、元肥のほか、追肥にも使われます
窒素がほとんどないため油粕と併用するのがいいでしょう
酸性の土壌を中和するためにも使われますが 混ぜすぎるとアルカリ性に傾いてしまうため
使用量は注意してください

無機質肥料
鉱物など無機物に由来する肥料を「無機質肥料」といいます
化学肥料
鉱物などの無機物を原料として 化学的方法により製造された肥料を化学肥料といいます
化学肥料の特徴
・全体的に即効性が高く持続性は低い
・微生物の影響を受けず植物に吸収されやすい
・臭いやガスが発生しない
・有機肥料のような土壌改良効果 はない
・過剰使用すると「肥料やけ」が起こりやすい
・工場で大量生産が可能なため安定した品質のものが安価に手に入る
・粒の形や大きさが均一で成分も同じなため 施肥量を管理しやすくむらなく散布できる
・植物の生育に欠かせない3要素がバランス良く含まれていることが多く扱いやすい
・高度化成肥料の場合は普通化成肥料に比べて散布量が少なく作業時間も短縮される
化学肥料の成分が早く安く強く植物に吸収されるということは
いいことばかりに見えるかもしれません
ですが 植物が土から栄養を吸収しすぎてしまうと
硝酸態窒素(硝酸塩や硝酸イオン)と呼ばれる化学物質が蓄積されることがあります
この硝酸態窒素という化学物質は 人体の有害な物質です
また害虫にとっては大好物であり 害虫被害が増えます
化学肥料を大量に使う場所では土の砂漠化が進みます
化学肥料には微生物たちにとっては毒となる成分が含まれていることがあり
微生物たちが死滅することがあります
これにより土の中で栄養分をつくる存在が消滅し 砂漠のようなサラサラの土壌になってしまいます
一方 正しく使っていれば化学肥料が害になるということはないとも言われており
化学肥料を使うときは 堆肥や有機肥料とは使用するタイミングを変えて合わせて使うと良いでしょう
堆肥
稲わらや落ち葉 家畜ふん尿 食品残渣などの有機物を 微生物の力を使って分解させ
成分的に安定化するまで腐熟させたものをいいます
水田や畑に施用された堆肥は 土の中に存在する土壌微生物や作物の根から放出される
クエン酸などの有機酸によって分解・溶解され、作物の根から養分として吸収されます
堆肥の原料と種類
植物性堆肥
わら堆肥・バーク堆肥などで、肥料成分が少ないかわりに 炭素を多く含む堆肥です
土壌改良効果が高く土全体の通気性や保水性がよくなることで
柔らかく植物が育ちやすい土壌ができあがります
動物性堆肥
牛や、豚などの家畜の糞尿を堆肥化させており 植物性堆肥に比べ
リン酸・カリウム・窒素といった栄養分を多く含む堆肥です
土壌改良効果もありますが肥料のようにも使われます
家畜の種類によってその効果や持続性もそれぞれで差があります
鶏糞堆肥
家畜糞堆肥では、一番肥料成分含有量が高い
タンパク質が多いため土壌改良効果はほとんどない
豚糞堆肥
牛糞堆肥と鶏糞堆肥の間くらいの肥料成分含有量
土壌改良効果は弱い
牛糞堆肥
肥料成分は豚糞堆肥・鶏糞堆肥より低く、緩やかに長く効く
炭素を多く含んでいるため土壌改良効果がある
馬糞堆肥
肥料成分は最も少なくほとんどが植物性有機物
土壌改良効果が最も高く ゆっくり効果を発揮します
ぼかし肥料
米ぬか・油かす・鶏糞・魚粉・骨粉などの有機物を
微生物(発酵菌)に分解・発酵させて作る肥料のことです
有機物の肥料をそのまま畑に撒くと 微生物の働きが過度に活発になりすぎて
酸素欠乏や窒素飢餓による障害引き起こしたり
有機物分解の過程でアンモニアガスや亜硝酸ガスが発生し
発芽や植物の生育を阻害することがあります
このため使用前に予め土などと混ぜて 微生物による分解・発酵を行い
急速な分解や肥効を「ぼかす」ことを行ったものが ぼかし肥料です
ぼかし肥料には明確な定義はなく ぼかし肥料に使う原料にも特に規定はありません
そのため化学肥料とは異なり 含まれる成分やその濃度は一定ではありません
化成肥料
化学肥料と間違えやすいですが 化成肥料と書かれているものがあります
肥料の製造方法の違いで 原料が「有機肥料」でも「化学肥料」でも、
球の形をした肥料やボーロ・ラムネのような形をした肥料等
工場で手を加えて成形された肥料を「化成肥料」と呼びます
化成肥料には 窒素・リン酸・カリウムがそれぞれどれだけ含まれているかが表示されており
三つの成分合計値が30%未満のものを「普通化成肥料」
30%以上の物を「高度化成肥料」と呼びます
ホームセンター等では「有機由来100%」や「有機分含有」と
書かれているものが有機入り化成肥料で
特に記載がないものや「速効性」等と書かれているものは化学肥料であることが多いです
基本的には有機肥料は即効性が低いが持続性が高く
化学肥料が主体となる化成肥料は即効性が高いが持続性が低いのが特徴です
液体肥料
肥料成分を水溶液にしたもの
液体肥料の特徴
・成分を均一にして施用できる
・農薬と混ぜて使用可能なものもある
・土壌に浸透しやすい
・スプリンクラーなどの灌水装置で手軽に施用できる
・速効性がある
・地温が低くても栄養の吸収が可能
・施肥量を調整できる
・葉面散布や土壌灌注など作物の状態に合わせて施肥できる
・肥料やけを起こすリスクがある
市場に出回っているほとんどの液体肥料が 化学肥料を原料として合成された化成液肥です

石灰肥料
土壌のpHを調整するために使われます
日本の土壌は雨や土の性質の関係で酸性が強い傾向にあります
また作物を同じ場所で長期間栽培していると段々と土壌が酸性に寄っていきます
一般的に野菜は中性から弱酸性の土壌を好みます
酸性やアルカリ性に偏りすぎてしまうと うまく育たなかったり病気になりやすくなります
そのため石灰を使用し 土壌環境を作物にあったものに調整していきます
石灰の種類
消石灰
速効性があり 土壌のpHを急速に改良するのに適しています
アルカリ分が強いため 使用する際は植物を植える2週間前までに土壌に散布しましょう
苦土石灰
カルシウムとマグネシウムを含む肥料です
土壌のpH調整と同時に 作物に必要な栄養を補給してくれます
根を強くし葉緑素の形成を促進する効果もあり
作物の根を傷めるリスクが低いため安心して使用できます
苦土石灰はそのままにしておくと雨など水に濡れて固まり土が硬くなってしまいます
散布後はすぐに土と混ぜ合わせてください
植物を植える1~2週間前には散布しましょう
有機石灰
カキ殻や卵の殻から作られ炭酸カルシウムを主成分としています
アルカリ分が低いため効果は緩やかで 植え付け直前や栽培中の散布にも向いています
土壌の通気性や排水性を改善する効果もあり 家庭菜園でも扱いやすい石灰肥料です
それぞれの特徴を把握して 自分の畑と作物にあった肥料を選定して
安全で美味しい野菜を育てましょう
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