札幌の冬は「音」が語る|道民が耳で聞き分ける「雪のオノマトペ」の世界

シンシンと降る雪 ひとりごと

「雪がシンシンと降る」

「歩くとギュッギュッて鳴る」

札幌の冬、私たちの日常会話は、雪の状態を驚くほど正確に表す「擬音語(オノマトペ)」で溢れています。これらは単なる感覚ではなく、その日の行動を左右する極めて重要な「データ」なのです。


❄️ 静寂を彩る「シンシン」と、足裏の「ギュッギュッ」

雪国以外の人には同じに見える雪も、札幌市民の耳は細かく聞き分けます。

  • シンシン: 音もなく、静かに降り積もる様子。
    幻想的ですが、翌朝の凄まじい除雪量を予感させる、雪かきの為に朝起きる時間を15分早める静かな覚悟の音でもあります。
  • ギュッギュッ: 新雪を踏みしめた時の音。
    この音が聞こえる間は、気温が低く雪が全く溶けない「低温注意報」と、まだ靴裏が滑りにくいという「安全の合図」として機能します。

❄️ 恐怖の「ツルツル」と、正体不明の「テカテカ」

この音が意識にのぼる時、札幌市民の警戒レベルは最大になります。

  • ツルツル:頭部が薄毛の人を揶揄する言葉ではありません💦。
    完全に凍りついた氷盤路面を表す言葉です。
    即座に「ペンギン歩き」モードへの切り替えを余儀なくされます。
  • テカテカ: 顔面の油分が浮き出た状態を表した言葉ではありません💧。
    いわゆるブラックアイスバーン。
    見た目はアスファルトなのに、実は薄氷。
    視覚と聴覚をフル稼働させて見抜かなければならない死活問題です。

❄️ 快適な「サクサク」と、最悪の「ザクザク」

一文字違うだけで、その日のストレス値は天と地ほど変わります。

  • サクサク: 適度に踏み固められた雪道。
    冬の札幌で最も歩きやすく、リズム良く進めるボーナスタイムです。
  • ザクザク: 気温が上がり、雪が溶け始めたシャーベット状態。
    進まない、靴は濡れる、足は疲れる。
    「今日はハズレだ」と全員が察する同時に「まだツルツルよりマシ」(この言葉は口に出さないほうが良い場合があります💦)と少しでもポジティブに捉える音です。

❄️ 車を悩ます「ガリガリ」と「ボコボコ」

ドライバーにとっての冬は、車体への攻撃音との戦いです。

中通りに入った瞬間の「ガリガリ」という底をこする音、そしてハンドルを取られる「ボコボコ」のわだち路面。
この音が聞こえ始めたら、市民は「止まるとスタックする」と予知すると共に更なる深みにはまらないように細心の注意を払います。


❄️ 「ピリピリ」と「キラキラ」する、空気の音

マイナス10度を下回った時、もはや音ではなく「感覚」が訴えかけてきます。
空気が震えているような、肌を刺す「ピリピリ」感。
鼻毛が凍り、まつ毛に雪が張り付く。
そして「キラキラ」としたダイヤモンドダストが出現するチャンス到来。
北海道の真骨頂です。

❄️ 家の中に響く「ズッズッ」という重低音

家の中にいるとどこからともなく「ズッズッ」という低い音が響く。
しばらくするとまた「ズッズッ」「ズズッ」、またしばらくして「ズッズッ」「ズズッ」「ズズッ」
そして突然「ズドドドドドドーーン!」。
窓の外に雪の塊が落ちていく。
屋根の雪が滑り落ちる音です。
この最初の「ズッズッ」という音だけで、「あっ!来たな」と思えるようになったら、上級北海道民です。


まとめ|音を識ることは、冬を識ること

札幌市民がこれほどまでに「雪の音」に敏感なのは、厳しい冬を賢く、安全に生き抜くための知恵に他なりません。

次に誰かが「今日はツルツルだね」と言ったら、それは「気をつけてね」という優しさの合図。
「誰がツルツルやねん!」というボケをする北海道民はいません。
この音の解像度こそが、札幌の冬を彩る文化なのです。

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