札幌市は、人口190万人を超える都市としては世界でも類を見ない豪雪地帯です。
私たちが冬の朝、当たり前のように道路を利用できる裏側では、世界屈指の除雪体制を維持するための過去最大規模の予算が動いています。
今回は、2025年度の最新予算案や、変わりゆく除雪の仕組みについて解説します。
💰 止まらない予算増:2025年度は過去最大の285億円へ
近年の物価高騰や人件費の上昇を受け、札幌市の雪対策費は右肩上がりで増え続けています。
年度別の予算推移
| 年度 | 予算額(当初) | 備考 |
| 2022年度(R4) | 約216億円 | |
| 2023年度(R5) | 約251億円 | 補正を含めた執行額は約262億円 |
| 2024年度(R6) | 約278億円 | 当時の過去最大を更新 |
| 2025年度(R7) | 約285億円 | さらなる過去最大を更新(予算案) |
大雪が降れば補正予算が組まれるため、実際の支出は年間300億円を超えることが珍しくない時代に突入しています。

🏗️ なぜそんなにお金がかかる?「排雪」のコストは桁違い
札幌市の雪対策には、大きく分けて「除雪」と「排雪」があります。この2つのコスト差を知ると、予算の大きさが理解しやすくなります。
- 除雪(新雪除雪など): 雪を道路の脇に寄せる。
- コスト:1kmあたり 約3万円
- 排雪(運搬排雪): 雪を削り取り、ダンプカーで雪堆積場へ運ぶ。
- コスト:1kmあたり 約103万円
排雪にかかる費用は、単純計算で除雪の約80倍。
条件によっては、排雪は除雪の数十倍以上のコストがかかります。
燃料費の高騰に加え、雪を捨てる場所(雪堆積場)が郊外へ遠ざかっていることも、コストを押し上げる要因となっています。

🔄 大きな転換点:町内会負担から「市による全額負担」へ
これまで札幌市の生活道路の排雪は、市と町内会が費用を出し合う「パートナーシップ排雪」が主流でした。
しかし、住民の高齢化や加入率低下により、この仕組みが限界を迎えています。

2025年度(令和7年度)の最新動向
札幌市は、生活道路の除雪を**「市が主体となって行う仕組み」**への移行を加速させています。
- 実証実験の拡大: 2025年度からは、厚別区と清田区の全域(約570km)において、市が全額負担で排雪等を行うモデル事業が実施されます。
- 住民負担の軽減: 他の区でも、物価高騰分を市が肩代わりし、町内会が支払う単価を据え置くなどの支援が継続されています。
将来的な全市展開を見据えたモデル事業として実施されています。

🌡️ 新たな敵は「ドカ雪」と「ザクザク路面」
最近の傾向として、気温の乱高下による**「路面のザクザク化」**が市民生活を脅かしています。
2024年度・2025年度の予算では、こうした悪路対策として、路面を平らに削るグレーダーの出動回数確保や、最新の気象予測システムの導入に重点が置かれています。
また、除雪オペレーター不足を解消するため、労務単価の引き上げも毎年行われています。
まとめ|札幌の冬を支える「285億円」の投資
札幌市の除雪費が過去最大を更新し続けているのは、決して無駄遣いではありません。
- 物流を止めない(経済の維持)
- 救急車や消防車を通す(命の維持)
- 通勤・通学の足を守る(生活の維持)
これらを維持するための、いわば「冬のインフラ維持費」です。
最新技術の導入や仕組みの見直しが進む中で、私たち市民も「雪とどう共生していくか」を改めて考える時期に来ているのかもしれません。
関連記事:ドカ雪の翌朝でも札幌の道路が動く理由|世界屈指の除雪体制とは
:札幌で今シーズン最多のドカ雪 北海道の「記録的な大雪」を振り返る
にほんブログ村

コメント